PRP療法とは
PRP (Platelet Rich Plasma) は多血小板血漿と訳され、今日まで特に美容・整形外科領域にて多くの治療実績が報告されています。特にこの治療法が有名になったきっかけは、プロ野球選手の肘への投与により手術を回避できたというニュースでした。血液中に存在する「血小板を多く含む血漿成分」を遠心分離により抽出し皮膚に局所注射する治療です。血小板の中にはα顆粒などの各種成長因子 (PDGF, FGF, VEGF, EGF, TGFなど)を多く含む成分が存在します。PRP療法では、これらが投与した部位の上皮細胞や皮下組織の膠原線維細胞などに作用して細胞を活性化し、表皮・真皮の再生能力を高めます。結果的にシワ・ハリ・ツヤの改善や創傷治癒促進効果が期待できます。また、患者様ご自身の血液を使用するため、副作用がなくリスクが少ない安全な治療法です。PRP治療は対象疾患や投与経路ごとに厚生労働省の許可が必要ですが、当院におけるPRP治療は、美容目的のほかに難治性潰瘍や褥瘡に対する創傷治癒促進効果を狙ったものです。術後の創部や難治性潰瘍、褥瘡など、外科、肛門科領域で難治性皮膚疾患に悩む患者様の選択肢の一つになればと考えております。創傷治癒の遷延により悩んでいる患者様を診ているなかで、何かできることがないかと考えこの治療法に行きつきました。
料金
内容 | 料金(税込) |
---|---|
褥瘡 | 1箇所につき 55,000円 |
難治性潰瘍 | 1箇所につき 55,000円 |
顔 | 1部位につき 33,000円※ |
全顔 | 132,000円 |
全顔+首のシワ | 165,000円 |
※…顔の部位 額、法令線、ゴルゴライン、マリオネットライン、フェイスライン、眼瞼、涙袋、首のシワ、シミ、肝斑など
*PRP治療は完全予約制です。ご希望の患者様はお問い合わせください。
当院におけるPRP療法
現在の日本国内の状況につきましては、本治療は厚生労働省の許可が必要な第三種再生医療に分類されております。当院ではその許可を得ており(計画番号 PC3200285, 2021年3月17日 受理)、対象疾患の名称は「先天性、老化、外傷等による顔面および全身表皮の萎縮、変形、創傷、潰瘍」となっております。実際に想定している対象は、全身表皮の外傷・術後の創部・難治性潰瘍・褥瘡などに対する創傷治癒促進効果を目的としたものと、顔面の弾力低下・シワ・ざ瘡などに対する美容目的のものです。当院ではこれらを保険外の自由診療として、投与量・投与目的に応じ料金を設定しております。
施術方法
- 静脈より20mLほど採血します。投与量に応じて採血の量も加減します。
- 遠心分離を2回行い、得られた上清がPRPです。作製時間は約30〜40分間です。
- 投与部位には予め麻酔クリームを塗布して待機していただきます。PRPが完成し次第、細い針を用いて患部の真皮内、真皮下に局所注射していきます。
- 術後、内出血予防のために若干の圧迫止血やアイシングを行います。
効果
美容目的の場合→顔面の法令線、ゴルゴライン、マリオネットラインなどのシワ、目の下のクマ、小ジワ、フェイスラインのリフトアップ効果、首のシワの改善などの効果が見込めます。効果は、上に書いたように細胞分裂が促進されてから実感しますので、術後1〜2週間後から変化を感じるでしょう。また、血小板が成長因子を放出したらその血小板の役割は終了しますので、一回の治療で永続的な効果を保証することはできません。3ヶ月〜半年に一回、繰り返して治療することで良い状態を保てるものとお考えください。 創傷治癒目的の場合→褥瘡や難治性潰瘍など、なかなか治らなくてお困りの患部が、通常よりも早く治癒傾向になることが期待できますが、元々の傷の状態や個人差にもよります。あくまでも自己の創傷治癒過程を補助する治療ですので、完璧な出来栄えを保証するものではありません。まずは創部のベースの状態を正しく評価することから始まります。ご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせいただければと思います。
注意事項
術後は針穴からの出血や内出血を生じる可能性がありますので、以下のことは控えてください。
- 飲酒・入浴(湯船につかること)・激しい運動・施術部位のマッサージ・化粧・日焼け
また、内出血が生じてほくろ大の紫色のシミができることがありますが、2〜3日で自然と吸収され消褪します。特に顔面の治療をご希望の方は、当日に会合などで人に会う予定がある場合は内出血が気になることがありますので、予定がない日に施術を受けてください。目の下など、表皮が薄い部位は内出血が数日間気になる場合があります。