便潜血検査(血便)とは
便潜血検査は、肉眼では確認できないほど微量の血液が便に含まれていないかを確認する検査です。健康診断などでは大腸がん発見のためのスクリーニング検査として行われ、陽性になった場合には大腸カメラ検査などの精密検査を受けるように推奨されます。
陽性になって精密検査として大腸カメラ検査を受けた場合、最も多い原因は肛門疾患です。その次に多いのは大腸ポリープでこれが30%程度を占めます。大腸癌が見つかる頻度は数%です。大腸ポリープは良性の線種が大半を占めますが、腺腫は放置していると癌化する可能性があります。大腸カメラ検査中に発見した大腸ポリープはその場で切除することができるため、将来の大腸癌予防になります。こうしたことから、便潜血検査陽性を指摘された場合、早めに大腸カメラ検査を受けることは大腸癌予防にもつながります。
ただし、進行した大腸癌や前癌病変の大腸ポリープがあっても、便潜血検査で陰性になることは珍しくありません。がんやポリープから出血していない場合や、血が付着していない部分の便を検査に出してしまった場合には陰性になってしまうからです。そのため、大腸癌発症のリスクが高まる40歳を超えたら、便潜血検査陰性で自覚症状がなくても大腸カメラ検査を受けるようおすすめしています。当院では、大腸内視鏡検査で異常を指摘されなかった場合でも、2〜3年に一回は検査を受けることを推奨します。また、複数のポリープを切除した後や、病理検査で異型度の高いポリープを認めた場合には症例によりますが半年〜1年後の経過観察を推奨します。
大腸癌とは
大腸癌は罹患者数が増え続けていて、がんによる死亡率でも長く上位を占めています。進行した大腸癌は開腹手術など大変な治療が必要になりますし、死亡率も高いので怖い病気というイメージを持たれる方が多くなっています。しかし、大腸癌は早期に発見できれば日常にほとんど影響しない楽な治療で完治が望める病気です。また、将来癌化する可能性がある前癌病変の大腸ポリープを切除することで、将来の大腸癌予防になります。
早期治療や予防が有効な大腸癌ですが、早期大腸癌や前癌病変の大腸ポリープを発見できる唯一の検査は大腸カメラ検査です。自覚症状のない段階で定期的な大腸カメラ検査を受けることが最も効果的な予防法ですが、大腸カメラ検査がまだ一般的になっていないため、進行して自覚症状が現れてから発見されるケースが今も多いのです。 大腸カメラ検査は「苦しそう」「深刻な病気がある場合に受ける検査」というイメージがある方が多いのですが、現在はどなたでも気軽に受けられる検査になっています。また、当院では内視鏡検査・処置・治療の研鑽を長く積んできた専門医が、高度な内視鏡システムを使って負担が少なく精緻な検査を行っています。鎮静薬を使用することも可能であり、苦痛や膨満感などの不快感を最小限に抑えた検査を提供していますので、安心してご相談ください。
早期発見可能な唯一の検査である大腸カメラ検査
大腸カメラ検査は、大腸全域の粘膜をすみずみまで直接観察できます。当院では拡大や特殊な波長の光を使った観察、画像処理が可能な最新内視鏡システムを導入しているため、微小な病変も短時間に発見することが可能です。さらに疑わしい組織を採取して病理検査を行うことで確定診断も可能です。また、大腸ポリープが発見された場合には、内視鏡を用いてその場で切除する日帰り手術が可能ですから、将来の大腸癌予防も可能です。
当院では経験豊富な専門医が苦痛や不快感を最小限に抑えた検査を行っています。鎮静薬を使用した検査も可能ですから、ご不安がある方もお気軽にご相談ください。
便潜血検査陰性も油断は禁物です
大腸ポリープ、早期癌、そしてかなり進行した大腸癌でも、出血を起こさないこともありますので、便潜血検査では陰性になってしまうことがあります。ある調査では、早期大腸癌では半分、進行大腸癌でも10%程度が便潜血検査陰性になると指摘されています。自覚症状がない場合も、大腸癌や大腸ポリープ発症のリスクが上昇しはじめる40歳を超えたら、一度大腸カメラ検査を受けるように推奨しています。
